マウスピース矯正は、透明なマウスピース型の矯正装置を装着して、少しずつ歯を動かしていく矯正方法です。特に、前歯の歯並びなど気になる部分だけを整える「部分矯正」では、全体矯正と比較して治療期間や費用を抑えられる場合があります。
一方で、マウスピース矯正を始めると「食事のときはどうすればいい?」「何を食べても大丈夫?」「間食はしてもいい?」など、食生活について疑問を持つ方も少なくありません。
ここでは、マウスピース矯正中の食事で気をつけたいポイントについて詳しく解説します。
1.食事をするときは基本的にマウスピースを外す
マウスピース矯正では、食事の際にはマウスピースを外すのが基本です。
マウスピースを装着したまま食事をすると、食べ物によってマウスピースが変形したり、破損したりする可能性があります。また、食べ物がマウスピースと歯の間に入り込むことで、むし歯や歯周病のリスクが高くなることもあります。
特に、熱い飲み物や熱い料理には注意が必要です。マウスピースの素材によっては熱によって変形する可能性があるため、装着したまま熱いものを口にすることは避けましょう。
基本的には、
「食事をする → マウスピースを外す → 食後に歯を清掃する → マウスピースを装着する」
という流れを習慣にすることが大切です。
2.食べ物そのものより「食べる回数」にも注意
マウスピース矯正中は、食事の内容だけでなく「食事の回数」も重要です。
マウスピース矯正では、治療計画にもよりますが、できるだけ長い時間マウスピースを装着することが求められます。そのため、何度も間食をすると、そのたびにマウスピースを外す必要があります。
例えば、朝食、昼食、夕食に加えて何度もお菓子や飲み物を口にしていると、マウスピースを装着している時間が短くなってしまいます。
装着時間が不足すると、予定どおりに歯が動かず、治療期間が延びる可能性もあります。
間食をする場合は、だらだら食べ続けるのではなく、できるだけ時間を決めて食べることがおすすめです。
3.マウスピースを装着したまま飲んでよいものは?
基本的には、マウスピースを装着しているときは水を飲むことがおすすめです。
砂糖を含むジュースやスポーツドリンク、炭酸飲料などをマウスピース装着中に飲むと、糖分が歯とマウスピースの間にとどまりやすくなります。その状態が長く続けば、むし歯の原因になる可能性があります。
また、コーヒー、紅茶、赤ワインなど色の濃い飲み物は、マウスピースの着色につながることがあります。
「透明なマウスピースだから目立ちにくい」ということがメリットの一つですが、着色すると透明感が失われ、見た目に影響する場合があります。
そのため、マウスピース装着中の飲み物は、基本的に水や歯科医院から指示されたものにしておくと安心です。
4.食後は歯磨きをしてから再装着する
食後にマウスピースを再装着する前には、できるだけ歯をきれいにすることが大切です。
食べ物が歯に残った状態でマウスピースを装着すると、歯の表面が汚れた状態で密閉されるような環境になり、むし歯や歯周病のリスクが高まる可能性があります。
特に注意したいのが、糖分を含むお菓子や飲み物です。
外出先などで毎回丁寧に歯磨きをするのが難しい場合でも、可能な範囲で口の中を清潔にしてから再装着することが大切です。歯磨きができない場合は、水でしっかり口をゆすぐなどの対応も一つの方法です。
ただし、具体的なケア方法については、使用しているマウスピースの種類や口腔内の状態によって異なるため、担当歯科医師や歯科衛生士の指示を優先してください。
5.硬いもの・粘着性の強いものにも注意
マウスピースを外して食事をする場合、基本的に「矯正装置があるから食べられない」という食品は少ないのがマウスピース矯正のメリットです。
ただし、矯正中は歯が動いているため、硬いものを噛んだときに歯に痛みを感じることがあります。
治療直後や新しいマウスピースに交換した直後は、歯が敏感になっていることもあるため、硬いせんべい、ナッツ類、硬い肉などを食べるときには注意しましょう。
また、キャラメル、ガム、餅などの粘着性の高い食品は、歯に付着しやすいため、口腔内の清掃をより丁寧に行う必要があります。
「食べてはいけない」と一律に考えるのではなく、歯や歯ぐきの状態を確認しながら、無理なく食べられるものを選ぶことが大切です。
6.部分矯正でも食事管理は大切
「部分矯正だから食事にはそれほど気をつけなくてもいい」と考えてしまう方もいますが、部分矯正であっても基本的な注意点は変わりません。
特に重要なのは、
・食事中はマウスピースを外す
・装着中は基本的に水を飲む
・食後は歯を清潔にしてから再装着する
・間食を頻繁にしすぎない
・決められた装着時間を守る
・マウスピースを清潔に保つ
というポイントです。
部分矯正は、前歯など限られた範囲を短期間で整えることを目的とするケースが多い一方、適応できる歯並びには限界があります。また、噛み合わせなどの問題がある場合には、部分矯正だけでは十分な治療ができないこともあります。
そのため、「自分の場合は部分矯正でよいのか」「どのくらいの期間マウスピースを装着する必要があるのか」「食事や間食についてどこまで制限が必要なのか」は、事前に歯科医師へ確認しておきましょう。
まとめ
マウスピース矯正は、ワイヤー矯正と比べて食事の制限が比較的少なく、自分で装置を取り外せることが大きなメリットです。
しかし、自由に食事ができるからといって、マウスピースを外す回数が増えたり、歯磨きをせずに再装着したりすると、むし歯や歯周病のリスクにつながる可能性があります。
特に大切なのは、**「食べるときは外す」「食後は清潔にしてから戻す」「装着時間を守る」**という3つの習慣です。
また、矯正治療中は歯が移動することで、一時的に歯が痛んだり、噛みにくく感じたりすることがあります。その場合は、無理に硬いものを食べず、柔らかく食べやすいものを選ぶとよいでしょう。
マウスピース矯正を成功させるためには、歯を動かす技術だけでなく、毎日の装着時間や口腔ケア、食生活などのセルフケアも重要です。正しい方法でマウスピースを使用し、担当の歯科医師・歯科衛生士の指示を守りながら治療を進めていきましょう。
歯科衛生士M
