「口元が出て見える」「横顔が気になる」
いわゆる“口ゴボ”のご相談は近年とても増えています。
SNSなどの影響もあり、Eラインや側貌バランスへの関心が高まっていることも一因でしょう。
では、この“口ゴボ”は部分矯正で改善できるのでしょうか。
結論から言うと、
原因によっては可能ですが、すべての症例に適応できるわけではありません。
■ 口ゴボの原因分類
口元の突出感は、大きく分けて以下の要素が関与します。
① 歯槽性(しそうせい)要因
前歯の前方傾斜や唇側への突出が原因で、口元が出て見える状態です。
この場合、歯の位置を後方へコントロールすることで改善が期待できます。
② 骨格性要因
上顎骨・下顎骨の前方位など、顎骨そのものの位置関係による突出です。
このケースでは、歯の移動だけでは改善に限界があります。
③ 軟組織要因
口唇の厚みや緊張、鼻・顎の形態など、軟組織バランスによっても印象は大きく変わります。
つまり、“口ゴボ”は単純に前歯だけの問題とは限らないのです。
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■ 部分矯正が適応となるケース
部分矯正が有効となるのは、主に以下の条件がそろう場合です。
・軽度の前歯部前突
・歯の傾斜改善が主目的
・奥歯の咬合関係が安定している
・大きなスペース獲得を必要としない
・抜歯を伴わない範囲で後退可能
特に、歯槽性前突が中心であり、
歯のトルクコントロール(歯の傾きの調整)で改善できる症例では、
部分矯正という選択肢が成立します。
マウスピース型装置でも一定のコントロールは可能ですが、
移動量や力のかけ方によってはワイヤー矯正が適している場合もあります。
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■ 部分矯正で難しいケース
一方で、次のような症例では慎重な判断が必要です。
・前歯を大きく後退させる必要がある
・上下顎前突(いわゆる重度の口ゴボ)
・抜歯スペースが必要
・骨格性の前方位が明らか
・口唇閉鎖時に強い筋緊張がある
このようなケースでは、部分矯正のみで無理に前歯を後退させると、
・歯根吸収のリスク
・咬合不安定
・後戻り
・審美的改善の不足
といった問題が生じる可能性があります。
■ ゴール設定が治療方針を決める
「少し印象を改善したい」のか
「横顔のラインを明確に変えたい」のか
目標によって、必要な移動量も治療範囲も変わります。
そのため治療目標に対して適切かどうかも重要です。
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■ まとめ
口ゴボは部分矯正で改善できるケースもありますが、
その適応は限定的です。
重要なのは、
・原因の正確な診断
・骨格と歯の鑑別
・適切な治療ゴールの設定
部分矯正は有効な選択肢の一つですが、
適応を誤ると十分な改善が得られない可能性があります。
口元の突出が気になる場合は、
まず精密検査を行い、原因を明確にすることが大切です。
受付.N
