マウスピース矯正(インビザラインなど)は、ワイヤー矯正と比べて口内炎ができにくい治療法とされています。しかし実際には、「矯正を始めてから口内炎ができた」「同じ場所に繰り返し口内炎ができる」と感じる方も少なくありません。矯正中の口内炎は珍しいことではなく、原因を理解し、正しく対処すれば多くの場合は自然に改善します。
- なぜマウスピース矯正中に口内炎ができるのか
- マウスピースの縁が粘膜に当たる
マウスピースは薄く滑らかな素材でできていますが、歯ぐきのラインや唇・頬の内側に繰り返し接触することで小さな刺激が加わり、口内炎が生じることがあります。特に治療初期や新しいアライナーに交換した直後に起こりやすい傾向があります。
- アタッチメントによる刺激
歯の表面につける「アタッチメント」は歯の動きを助ける重要な装置ですが、唇や頬に擦れることで口内炎の原因になることがあります。慣れるまでの期間は違和感を覚えやすいポイントです。
- 口腔内が乾燥しやすくなる
マウスピースを長時間装着していると、唾液の循環が変わり、口の中が乾燥しやすくなります。唾液には粘膜を守る役割があるため、乾燥すると炎症が起きやすくなります。
- 免疫力の低下・生活習慣の影響
矯正そのものとは直接関係なく、睡眠不足・ストレス・ビタミン不足などが重なると、口内炎ができやすくなります。矯正中は無意識に緊張しやすく、体調の影響を受けやすい時期でもあります。
- 口内炎ができたときの正しい対処法
- 無理にマウスピースを外さない
口内炎が痛いからといって、長時間マウスピースを外すのはおすすめできません。装着時間が不足すると歯の動きが計画通り進まず、治療が長引く原因になります。
基本は装着を続けつつ、痛みを和らげる対処を行います。
- 市販の口内炎治療薬を使う
軟膏タイプや貼付タイプの口内炎治療薬は、痛みを抑え治癒を早める効果があります。マウスピース装着前に使用しても問題ありません。貼るタイプはアライナーとの摩擦を減らす点でも有効です。
- 刺激になる部分を保護する
口内炎ができた場所にマウスピースの縁やアタッチメントが当たる場合、歯科用ワックスや保護ジェルを使うことで刺激を軽減できます。歯科医院で相談すれば適切な処置をしてもらえます。
- うがいで口腔内を清潔に保つ
殺菌作用のあるうがい薬や、生理食塩水でのうがいは、炎症の悪化を防ぎます。ただし、アルコールが強いものは刺激になるため注意が必要です。
- 歯科医院で相談すべきタイミング
次のような場合は、早めに歯科医院へ相談しましょう。
- 同じ場所に何度も口内炎ができる
- 1週間以上治らない
- 強い痛みで食事や会話に支障が出る
- マウスピースの縁が明らかに当たっている
- 口内炎を予防するためのポイント
- マウスピースは毎回洗浄し、清潔を保つ
- 歯磨き・フロスを丁寧に行う
- 水分補給を意識し、口腔内の乾燥を防ぐ
- ビタミンB群を含む食事を心がける
- 無理な装着・着脱を避け、丁寧に扱う
まとめ
マウスピース矯正中の口内炎は、軽い刺激や環境の変化によって一時的に起こることがほとんどです。多くの場合、装着を続けながら適切に対処すれば数日〜1週間ほどで自然に治ります。
我慢せず、市販薬や歯科医院のサポートを上手に活用しながら治療を続けることが大切です。矯正は長期治療だからこそ、快適に続けられる工夫を取り入れましょう。
歯科衛生士.Y
