マウスピース矯正(インビザラインなど)は、取り外しが可能で目立ちにくく、部分矯正にも多く使われている矯正治療法です。しかし、マウスピース矯正は自己管理が非常に重要であり、誤った使い方や不注意な行動をすると、治療効果が得られないばかりか、歯や口腔内に悪影響を及ぼす可能性もあります。以下に、部分矯正中に絶対に避けるべき行動について詳しくお話をしていきます。
- 装着時間を守らない
マウスピースは、1日22時間以上装着することが推奨されています。これを守らないと、歯が計画通りに動かず、治療期間が延びたり、最悪の場合治療そのものが失敗することもあります。
やってはいけない例: •学校や職場で恥ずかしいからと外して過ごす
- 食事後に装着を忘れて数時間放置
- 寝る前にうっかり装着し忘れる
これらの習慣は少しずつズレを生み、最終的にマウスピースが合わなくなる原因になります。
- 飲食時にマウスピースを外さない
マウスピースをつけたまま飲食をするのは厳禁です。水以外の飲み物(特に糖分・酸が含まれるもの)や食べ物を摂ると、マウスピース内に汚れがこもり、虫歯や歯周病のリスクが非常に高まります。
やってはいけない例: •コーヒーやジュースを飲みながら装着 •軽いスナックをマウスピースの上から食べる •ガムを噛む(装置の変形・破損の原因)
透明なマウスピースは汚れやすく、着色もしやすいため、見た目の悪化にもつながります。
- マウスピースの手入れを怠る
マウスピースは毎日清潔に保たなければなりません。不衛生な状態で使い続けると、口臭、細菌の繁殖、さらには感染症のリスクも出てきます。
避けるべき行為:
- 水でさっと流すだけで洗浄を終える
- 熱湯で洗う(変形の原因)
- 専用の洗浄剤を使わず放置
- 歯磨き粉で磨く(傷がついて雑菌繁殖しやすくなる)
定期的に専用のクリーナーで洗浄し、乾燥も忘れず行いましょう。
- 自己判断でマウスピースを着けたり外したりする
部分矯正中は、歯の動きが繊細にコントロールされているため、自己判断でマウスピースの使用を中止したり、順番を飛ばしたりするのは厳禁です。
やってはいけない行動:
- 痛みがあるからと数日間使用を中断
- 自分の判断で次のマウスピースに交換
- 忘れていたので前のステップに戻る
矯正医が立てたスケジュールに基づいて、計画的に歯が動くよう設計されているため、自己流の管理は失敗の原因になります。
- アタッチメントやチューイーを使わない
部分矯正でも、アタッチメント(歯につける小さな突起)やチューイー(マウスピースを密着させるためのゴム)を併用することがあります。これらをきちんと使わないと、マウスピースが歯に正しくフィットせず、歯が意図した方向に動かなくなる恐れがあります。
まとめ
部分的な矯正であっても、マウスピース矯正は細かく管理された医療行為です。以下のポイントをしっかり守ることで、スムーズな治療効果が期待できます:
- 装着時間(1日22時間)を厳守する
- 食事や飲み物の際は必ず外す
- 清潔な状態を保つ(毎日の洗浄)
- 医師の指示に従って正しい順序で使用
- 紛失・破損時は即時連絡
- 補助器具も正しく使用する
こうした基本的なルールを守ることが、治療の成功に直結します。少しの気の緩みが、治療全体に大きな影響を与えることもありますので、最後まで自分の歯に責任を持って向き合いましょう。
歯科衛生士M
